2020年10月09日
眠れないのは歳のせい?睡眠の質を高めるセルフケア⑧
こんにちは!治療室キノワの佐藤緑です。
前回は疲れすぎが招く不眠について東洋医学的な考え方からのツボ刺激、また眠れないときに古くから愛されてきたハーブやアロマをご紹介しました。いずれも「不眠」に限らず心身ともにリラックスに導いてくれる方法ですので、1日の終わりなどに是非お試しくださいね
眠れないのは歳のせい?!
さて、今回は年齢と睡眠の関係です。「歳をとると朝早く目が覚めちゃうんだよね〜」という話をよく聞きますが、これは何故なのでしょうか。
①体内時計が前倒し
私たちの睡眠リズムは体内時計(サーカディアンリズム)が整えてくれていることは以前お話ししましたが、じつは歳をとると体内時計のリズムが変化していきます。具体的には、夕方以降に体温や血圧が下がるタイミングが加齢とともに少しずつ早くなり、それとともに眠くなる時間も早くなる。そして朝方早く体温が上がり始め目が覚める・・・といった具合に生体リズムが前倒しされていきます。
夕食を食べてテレビを観ているといつの間にか眠くなり、朝は目覚まし時計が鳴る前に何度も起きてしまうのは、この体内時計の前倒しがひとつの原因だったのです。
②睡眠時間そのものの減少
自分にとってのベストの睡眠時間は人それぞれです。10時間寝ないと満足しない方もいれば、4時間寝ただけで十分という方もいらっしゃいます。しかし、どんな方でも加齢と共に必要とされる「睡眠時間」が減っていきます。そもそも「睡眠」は日中フル稼働している脳を休めることが最も重要な目的で、同時に体の様々な機能も調整されます。
10年ごとに10分くらい睡眠時間が短くなる・・・という説もあるようで、そうなると20代の頃と50代では30分も睡眠時間が短くなる計算になりますね。
③睡眠の質の低下
睡眠脳波を調べたところ、加齢とともに深い(ノンレム)睡眠が減って浅い(レム)睡眠が増えていくことがわかりました。つまり、歳をとると(誰しもが)睡眠の質まで低下してしまうのです。浅い睡眠のときはよく「夢を見ている」などと言われますが、音や光などちょっとした刺激でも目が覚めやすくなります。寝ている途中で何度も目が覚めてしまっては、熟睡感や満足感も減ってしまいますね。
いくつになっても熟睡したい!体内時計の調整方法
以前、「体内時計を整えるには朝日をしっかり浴びることが大切」とお伝えしましたが、じつは歳を重ねた方の場合は調整方法が少し違います。
歳を重ねると体内時計が少しずつ前倒しされていくため、その変化に逆らうよう調整します。例えば、もし夜8時に眠くなったとしてもすぐに横になるのではなく、1〜2時間起きていてしっかりと「夜時間」のリズムを体に作ること。夕方から30分ほど散歩に出るのもいいでしょう。夜もある程度は活動的に過ごすことで「朝時間」が少しずつ整っていきます。
手首と足首のツボ刺激でぐっすり快眠
年齢を重ねていくと、少しずつ「親からもらったエネルギーの元」が減っていきます。このエネルギーを蓄えている場所が(東洋医学では)「腎」とされていて、加齢とともに腰が痛くなったり物忘れや耳鳴り・めまいが起こることも「腎が虚している」と考えます。また「腎」は体の水分代謝にも関係いており、腎虚になると体内の水分が減ってしまうので頭や上半身に熱がこもりやすくなります。
睡眠は「体温が下がることで眠気が起こる」ものなので、ここでも「腎虚」と「不眠」がつながりますね!
若さのツボ太渓(たいけい)
太渓は「腎」にかかわる大変重要なツボ。内くるぶしの脇にある凹みが太渓です。足裏から湧き出したエネルギーが全身に流れていく源といってもいいでしょう。毎晩寝る前にぜひここにお灸をしてみてくださいね。
足先が温まると頭にのぼった熱も下がるので、快眠につながります。
季節の変わりめのツボ大稜(だいりょう)
大稜は手首の内側、それも真ん中にあります。精神的なバランスに関わるツボで、不眠や加齢に伴う様々な不安感を和らげる効果があります。片手ずつ、反対側の手で包み込むように温めてみましょう。このとき目を閉じて深呼吸をするとさらに心が落ち着いて効果的です。
今回ご紹介した2つのツボは、年齢を問わず毎日の養生に活用して頂きたい場所です。これからもっと輝いて暮らしていきたい!という方はぜひ大切にしてくださいね。
次回は「快眠につながる食養生」をご紹介します。ご質問がある方は、お気軽に佐藤緑までおよせくださいませ。